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危機感で心動く!? (中編)

 


購買意欲をあおるには、多少の危機感をあおることが必要! ではそのための危機感は、どのくらいのレベルがいいのでしょうか?

 

 

さて、この「危機感の脅し」の効果を調べるために、心理学者ジャニスとフェッシュバッハは、こんな実験を行いました。彼らは被験者を集めて、以下のパターンで「歯みがきをするように」言ったのです。

 

A「まぁ、歯磨きを行ってね」(脅しなし)

B「虫歯になっちゃうから、ちゃんと歯磨きしてね」(弱い脅し)

C「歯磨きをしないと、歯に穴が開いたり腐ったりするよ? それに放っておくと、ガンになったり、目が見えなくなったりするから、ちゃんと歯磨きしてね」(強い脅し)

 

さぁ、この場合、もっとも説得の効果が高かったのは、ABCのどれだったと思いますか?

 

考えてから、続きを読んでくださいね。

 

 

実はこの答え、Bの「弱い脅し」の場合だったのです。

おそらくこれを読んでいる方の中には、「ええっ! Cじゃないの!?」という方もいらっしゃるでしょう。実際にこのジャニスたちの論文が発表されたとき、心理学界は揺れに揺れました。

「マジで!? 強い脅しよりも弱い脅しの方がいいの?」

「じゃあよく怪しいお店とかで『○○をしたら100万円の罰金』とか書いてあるけど、意味ないの!?」

こんな会話がなされたかは不明ですが、驚いた心理学者たちは、その真偽を調べるためにたくさんの実験を繰り返しました。

 

その結果、統一された結論はまだ出ていないのですが、ほとんどの実験によって、

「話を聞く人がメッセージに興味を抱いている場合ほど、脅しは弱い方がいい」。

すなわち、「強すぎる脅しは逆効果になる」ことが示されています。

 

強すぎる恐怖を与えると、人間は気持ちをシャットアウトします。その結果、「認めない」「聞かなかったことにする」という選択を選ぶことだってあるのです。

 

ですから胃腸薬のCMだって、決して「飲み過ぎで死にそうな人」という強い脅しをCMに出すことはありません。せいぜい、「なんだか胃もたれで苦しそう」とか「二日酔いで少しつらそう」といった、「弱いレベルの脅し」を使って、「だから胃腸薬を飲もう!」と宣伝をするわけです。

 

胃腸薬を思いついてしまう時点で、僕の潜在意識が投影されている気がします。

 

次回予告:強い危機感は逆効果であることをコミュニケーションに応用する方法とは?